能登半島の西岸を外浦、東岸(富山湾側)を内浦と呼ぶ。その内浦の中央やや北寄りに九十九湾がある。九十九湾の入り江の一つ、通称「船隠し」に当臨海実験施設が建てられている。九十九湾は湾口の幅約200m、最大奥行き1,200 m、水深25 mの典型的な溺れ谷で荒天でも湾内に波浪を見ない。実験施設周辺は国定公園に、湾口は海中公園に指定されている。九十九湾を中心に南北50 kmに渡る海岸線は、砂泥・礫・岩礁地帯と変化に富んでいる。
生物相は日本海を北上する対馬暖流の支流と富山湾の固有冷水域の影響を受け、南方系と北方系の両種が見られる。また、当施設の前の水深10 mには、口や肛門、消化管が無い「マシコヒゲムシ」(有鬚動物門より環形動物門へ変更)が生息する。磯採集に適した数カ所のポイントと、ドレッジに適した底質が異なるポイントがあり、臨海実習に適した環境といえる。